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住宅ローンを個人売買で断られた理由と再審査を通すための具体的な解決策

不動産の個人売買で住宅ローンを断られた原因と、融資を通すための具体的な対処法を解説します。金融機関が断る理由である重要事項説明書の有無から、不動産会社への書類作成・仲介依頼の費用まで分かります。

住宅ローンを個人売買で断られた理由と再審査を通すための具体的な解決策
住宅ローンを個人売買で断られた理由と再審査を通すための具体的な解決策 撮影:MACHIKADO ROOMS 編集部

仲介手数料を抑えようと不動産の個人売買を進めたものの、金融機関で住宅ローンの申し込みを断られてしまい、取引が暗礁に乗り上げるケースは少なくありません。融資が否決される最大の理由は、宅地建物取引士が作成する重要事項説明書が存在せず、銀行側が物件の適法性や担保価値を正確に評価できない点にあります。審査落ちの原因を紐解きながら、不動産会社へ書類作成や仲介を依頼して再審査を通す具体的な手順と、安全に引き渡しを完了させるまでの道筋を整理します。

住宅ローンを個人売買で断られた主な原因と銀行が融資を拒む理由

仲介手数料を抑えるために親族や知人間で不動産を直接売買しようとした際、金融機関に住宅ローンの利用を断られるケースは珍しくありません。個人の年収や勤務先といった属性に問題がなくても、取引の枠組み自体が融資の基準を満たしていないと判断されるためです。金融機関が個人間売買への融資を拒む背景には、書類の不備や法的調査の不足、取引の不透明性という明確な理由があります。

宅地建物取引士による重要事項説明書と正式な売買契約書が存在しない

多くの金融機関では、住宅ローンの本審査における必須書類として、宅地建物取引士の記名がある「重要事項説明書」と正式な「不動産売買契約書」の提出を義務付けています。宅地建物取引業法第35条に定められた重要事項説明は、取引対象となる不動産の法的制限や状態を専門家が調査・説明した証拠となる公的な書類です。

当事者同士が独自に作成した売買契約書では、どれほど詳細に取り決めを記載していても、宅地建物取引業者による客観的な調査を経ていないため、金融機関は融資の前提となる契約の正当性を確認できません。この書類の有無が、個人売買で審査落ちとなる最も形式的かつ重大な原因です。

物件の権利関係や法令上の制限について客観的な担保評価ができない

金融機関が住宅ローンを実行する際は、対象物件に第一順位の抵当権を設定します。万が一返済が滞った場合に物件を売却して債権を回収するため、担保としての価値が正確に評価されていなければなりません。しかし個人作成の書類では、以下のような法的リスクが排除されていないとみなされます。

調査項目

個人間取引で見落とされがちなリスク

金融機関が懸念する理由

敷地の境界

隣地との境界標がなく、境界確認書が作成されていない

将来の境界紛争や敷地面積の減少による担保割れ

権利関係

過去の相続登記の未了や私道通行権の設定不備

抵当権行使の妨げや第三者からの権利主張リスク

法令上の制限

建築基準法の接道義務違反(再建築不可物件)

建物の再建築ができず市場価値が著しく下落する懸念

専門家による調査が入っていない物件は、隠れた瑕疵や権利トラブルを抱えている恐れがあり、金融機関は適切な担保評価を下せません。その結果、物件の担保不適格を理由に融資が見送られます。

個人間の不透明な取引による資金使途の偽装やトラブルを金融機関が警戒する

親族間や知人間の売買では、金利の低い住宅ローンを目的外に利用する不正融資が警戒されます。たとえば、実際には売買実態がないにもかかわらず名義を変更して現金を調達する行為や、事業資金・他債務の返済に充当する資金使途の偽装です。

また、売買価格が市場相場から著しく乖離している場合、みなし贈与と判断される税務リスクや、将来の身内間トラブルに金融機関が巻き込まれる恐れもあります。客観的な第三者である仲介業者が介在しない取引は、こうしたコンプライアンス上の懸念を拭えないため、審査の門戸が閉ざされる傾向にあります。

中央の要石が欠けて途切れた、2つの家をつなぐ橋のイラスト

個人売買で住宅ローンを断られた後に融資を通す3つの対処法

個人間取引を理由に住宅ローンの審査で否決された場合でも、断られた原因を解消すれば融資を受けられる可能性は十分にあります。金融機関が懸念しているのは主に「取引の客観性」と「権利関係の安全性」であるため、これらを補う手続きを踏むことが重要です。具体的な対処法は次の3点に集約されます。

不動産会社に重要事項説明書の作成や契約仲介のみを依頼する

売主と買主の間で売買条件が合意に達している場合でも、契約書類の作成や重要事項説明のみを不動産会社へ有償で依頼する方法があります。重要事項説明とは、宅地建物取引士が物件の権利関係や法令上の制限について調査し、買主へ書面で説明する手続きです。第三者である専門業者が介在することで取引の透明性が担保され、都市銀行や地方銀行の審査基準を満たせるようになります。

このような業務を引き受けてくれる不動産会社を探す際は、個人間売買のサポート業務や契約書作成サービスを取り扱っている業者を中心に当たると円滑です。大手の不動産仲介会社は通常の仲介契約(媒介契約)を前提とするケースが多いため、地域密着型の不動産会社や、不動産取引のコンサルティングを行っている会社へ個別に相談することが現実的な選択肢となります。

個人間売買や親族間売買に対応している金融機関を探す

不動産会社を介さない取引を維持したい場合は、プロの仲介を必須としない金融機関へ申し込む手法があります。一般的な都市銀行では個人間売買の取り扱いが原則として不可とされているのに対し、一部のネット銀行やノンバンク(預金を受け入れずに融資業務を行う金融会社)では、所定の要件を満たすことで融資を受け付ける場合があります。

項目

一般的な都市銀行・地方銀行

個人間売買に対応するノンバンク等

仲介業者の介在

必須(重要事項説明書が必要)

不要または柔軟に対応

適用金利の水準

低水準(優遇金利が適用されやすい)

中〜高水準(リスク分が金利に反映される)

融資限度額・担保評価

物件価格の100%近くまで融資可能

物件評価額の70〜80%程度に制限される場合がある

ノンバンクや柔軟な審査を行う機関は間口が広い一方で、金利が一般的な住宅ローンよりも高めに設定される傾向があります。借入期間全体の総返済額が大きくなりやすいため、事前に返済シミュレーションを行い、返済計画に無理がないか慎重に見極める必要があります。

契約書類を整えたうえで別の金融機関に再審査を申し込む

住宅ローンの審査に落ちた情報は、個人信用情報機関に申込履歴として一定期間記録されます。短期間に複数の金融機関へ闇雲に申し込むと、審査で不利に働く恐れがあるため注意が必要です。まずは一度審査に落ちた原因を整理し、必要な書類を完全に整えることが先決となります。

個人間売買による形式的な不備が否決の主因であった場合は、不動産会社による重要事項説明書や売買契約書を準備することで懸念を払拭できます。そのうえで、直前に申し込んだ銀行とは異なる系統の金融機関(地方銀行や信用金庫、提携ローンなど)を選び、書類をすべて揃えた状態で再審査の申し込みを行います。適切な体制を整えてから再挑戦することが、融資承認を得るための堅実な手順です。

2つの建物をしっかりとつなぐ幾何学的な橋の図面イラスト

個人売買の住宅ローン審査を不動産会社へ依頼する際にかかる費用

個人売買で金融機関の融資承認を得るために不動産会社を介在させる場合、発生する費用は依頼する業務範囲によって大きく異なります。単なる書類作成のサポートにとどめるのか、あるいは媒介契約を結んで取引全体の仲介を依頼するのかによって、費用の内訳と総額が変わります。

重要事項説明書の作成・契約サポート費用の相場

宅地建物取引業者に現地調査や法令上の制限確認、重要事項説明書の作成・交付のみを依頼する場合、報酬の目安はおよそ10万円から30万円程度です。物件調査と書類作成にかかる事務実費や人件費を対価として支払う形式となります。

この方法では出費を低く抑えられますが、不動産会社は売買契約の媒介者(仲介役)にはならない契約形態が一般的です。金融機関によっては、媒介契約書が添付されていない書類作成のみの関与では融資を受け付けない場合もあるため、事前に借入先への確認が欠かせません。

通常の仲介手数料を満額支払うケースとの費用差

住宅ローンの取次ぎや引き渡しまでの立ち会いを含め、正式に仲介を依頼する場合は、宅地建物取引業法に基づく仲介手数料が発生します。売買価格が400万円を超える取引における法定上限額は、「(売買価格の3%+6万円)+消費税」と定められています(2026年時点)。

依頼方法

費用の目安

主な業務内容

金融機関からの評価

書類作成サポート

約10万〜30万円

物件調査、重要事項説明書・売買契約書の作成

銀行により取り扱い可否が分かれる

媒介契約(仲介)

売買価格の3%+6万円+税(上限)

取引全体の管理、ローンあっせん、残金決済立ち会い

通常の不動産売買と同等に扱われ審査が通りやすい

個人売買の仲介では、すでに売主と買主が合意している状態であるため、仲介手数料を法定上限より減額して請け負う不動産会社も存在します。費用の負担割合については、住宅ローンを利用する買主側が全額負担するケースや、売買の安全性を担保するために売主と買主で折半するケースなどがあるため、契約前に双方で費用配分を取り決めておく必要があります。

司法書士報酬や登記費用など住宅ローン実行時に生じる付帯費用

不動産会社への支払いのほかに、住宅ローンの実行と物件の引き渡しに伴う登記関係の実費が発生します。具体的には、所有権を売主から買主へ移す「所有権移転登記」と、金融機関が担保を設定する「抵当権設定登記」です。

  • 登録免許税:国の登記手続きに納める税金です。住宅用家屋の所有権移転や抵当権設定には、一定の要件を満たす場合に軽減税率が適用されます。
  • 司法書士への報酬:所有権移転登記と抵当権設定登記を合わせて、およそ5万円から10万円程度が一般的な相場となります。

住宅ローンを利用する場合、金融機関が指定する司法書士によって融資実行日当日に登記申請が行われます。これらの付帯費用は原則として買主の負担となるため、不動産会社への支払額とあわせて資金計画に組み込んでおくことが重要です。

個人売買で住宅ローンを利用する際の売買契約書とローン特約の注意点

個人間売買で住宅ローンを利用する場合、売買契約書に盛り込む条項の不備が大きな金銭トラブルに直結します。不動産会社が介在しない取引では、法的な防御策を契約書上に明記しておかなければ、万が一の際に当事者の一方が多大な損失を被るリスクを抱えることになります。

審査否決時に手付金を返還して白紙解除できるローン特約の明記

住宅ローンを利用して不動産を購入する際は、売買契約書に「融資利用特約(ローン特約)」を明記することが不可欠です。この特約は、指定期日までにローンの融資承認が得られなかった場合、契約をペナルティなしで無条件に白紙解除できる規定を指します。

特約がない状態で本審査が否決されると、買主は売買代金の支払いができずに契約違反となり、すでに支払った手付金を没収されたり違約金を請求されたりします。条項を作成する際は、申請する金融機関名、借入予定額、および融資承認の最終期限を特定し、期日までに否決となった場合の「手付金全額返還」と「契約の解除」を明記しておく必要があります。

建物の瑕疵や不具合をめぐる契約不適合責任の範囲設定

2020年4月施行の改正民法により、それまでの「瑕疵(かし)担保責任」は「契約不適合責任」へと改められました。引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容と合致しない場合、買主は売主に対して修補請求や代金減額請求を行えます。

個人間の売買では、建物の引き渡し後に発覚した雨漏りやシロアリ被害、給排水管の故障などをめぐり紛争に発展する例が少なくありません。宅地建物取引業者が売主となる場合とは異なり、個人間取引では当事者の合意によってこの責任を免責または期間短縮する特約が有効です。

項目

民法の原則規定

個人間売買での実務対応

責任の期間

不適合を知った時から1年以内に通知

引き渡し完了から数ヶ月間に限定、または全部免責

対象範囲

隠れた欠陥を含む契約内容との不一致全般

主要構造部・雨漏り・給排水設備などに限定して明記

建物の経年劣化や既存の不具合については「物件状況確認書」や「付帯設備表」を作成して事前に開示し、契約書上で責任範囲を明確に線引きしておくことが売主・買主双方の保護につながります。

融資実行日と所有権移転登記を同日に行う決済スケジュールの調整

住宅ローンを利用する決済実務では、融資実行と売買代金の着金、そして所有権移転登記の申請をすべて同日に完了させる「同時履行」が原則となります。金融機関は融資した資金が確実に売主へ支払われ、対象物件に第一順位の抵当権が設定されることを確認できなければ融資を実行しません。

そのため、当日の手続きは金融機関が指定する司法書士の立ち会いのもとで行われます。司法書士が必要書類(権利証、印鑑証明書など)の原本を確認し、登記申請が可能である旨を金融機関へ伝達した段階で買主の口座へ資金が実行され、即座に売主の口座へ代金が振り込まれます。関係者全員のスケジュールと必要書類の期限を事前にすり合わせ、当日に不備が生じない段取りを整えておく必要があります。

個人売買で住宅ローンを断られた状態から安全に引き渡しを完了させる進め方

個人売買で住宅ローンの審査に落ちたとしても、取引そのものを諦める必要はありません。否決の理由が買主自身の返済能力ではなく「個人間取引によるリスク」にある場合は、手続きの手順を正規のルートへ整え直すことで融資の再承認を目指せます。

売主・買主で現状を共有し専門家への相談方針を合意する

日本の法律上、不動産の個人間売買は完全に自由であり、当事者の合意のみで売買契約は成立します。しかし、金融機関から数千万円規模の資金を借り入れる住宅ローンでは、融資対象となる不動産の権利関係や物件状況を客観的に証明するため、宅地建物取引業者の介在が実質的に不可欠となるのが現実です。

審査に落ちた段階でまず求められるのは、当事者同士が感情的にならず、制度上の課題として現状を共有することです。不動産会社を介することで発生する仲介手数料や重要事項説明書の作成費用について、どちらがどう負担するかを冷静に協議します。

負担項目

一般的な負担割合

話し合いのポイント

仲介手数料・書類作成費用

折半、または買主側の負担

当初の売買価格を維持するか、手数料分を考慮して価格を再調整するかを合意する。

所有権移転・抵当権設定費用

買主が負担(登記実務の通例)

司法書士の選定を金融機関の指定に従う方針を双方で確認する。

境界確定・測量費用(必要な場合)

売主が負担

融資条件として土地の境界明示が求められた場合の費用と工期を共有する。

書類の整備から融資承認・引き渡しまでの全体工程を再設計する

専門家の関与が決まったら、決済期日から逆算して取引全体の工程を再設計します。個人間取引で作成した契約書をそのまま流用するのではなく、宅地建物取引士による物件調査と重要事項説明を経たうえで、正式な売買契約を結び直す手順を踏みます。

  1. 不動産会社への相談と媒介契約の締結: 個人間売買のサポート(仲介業務または書類作成支援)に対応可能な不動産会社を選定し、正式に業務を委託します。
  2. 物件調査と重要事項説明書の作成: 登記簿謄本や法令上の制限、現地の状況を専門家が調査し、法定の重要事項説明書を作成します。
  3. 売買契約の再締結とローン審査の再申請: ローン特約を正しく付帯した売買契約を締結し、金融機関へ事前審査および本審査を申し込みます。
  4. 金銭消費貸借契約と残代金決済・引き渡し: 融資承認後、金融機関で金銭消費貸借契約を結び、指定司法書士の立ち会いのもとで融資実行、代金決済、所有権移転登記を同日に完了させます。

一度審査に落ちた履歴がある場合でも、宅地建物取引業者による重要事項説明書と正規の契約書を添付して再申請すれば、金融機関の審査基準を満たす可能性は十分にあります。売主と買主が協力して透明性の高い取引環境を整えることが、安全な引き渡しへの最短ルートとなります。


出典
住宅ローン 融資基準 重要事項説明書 必須 — [PDF] ローン条項に関する トラブル等について - 東京都住宅政策本部
取引の各段階において消費者が必要とする情報の概要(【 】印は ...
宅地建物取引業法 第35条 重要事項説明 — 宅地建物取引業法 - e-Gov 法令検索
重要事項説明における各法令に基づく制限等についての概要一覧
個人間売買 仲介のみ 不動産会社 手数料 — 仲介手数料の簡単な計算方法は?上限額の違いや抑え方について
消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ - 国土交通省
親族間売買 住宅ローン 取り扱い 金融機関 — 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
[PDF] 話そう。 住まいのこれからを。 - 住宅金融支援機構

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取引・税務・法務に関する助言ではありません。制度や税率は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、最新の公的情報をご確認のうえ、宅地建物取引士・税理士等の専門家にご相談ください。

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