売る土地を売る

土地売却にかかる税金の計算方法と税率は?控除特例から確定申告まで解説

土地売却にかかる税金の種類や計算方法、所有期間による税率の違いをわかりやすく解説します。売却益にかかる譲渡所得税を抑える特別控除や相続時の特例、確定申告と納税のスケジュールまで網羅したガイドです。

土地売却にかかる税金の計算方法と税率は?控除特例から確定申告まで解説
土地売却にかかる税金の計算方法と税率は?控除特例から確定申告まで解説 撮影:MACHIKADO ROOMS 編集部

土地を売却したあとにどれだけの税金を納めることになるのかは、手元に残る資金計画を立てるうえで避けては通れない関心事です。土地売却で生じる税金の中心は売却益にかかる所得税と住民税であり、利益が出ていなければ原則として課税されません。税率は所有期間が5年を超えるかどうかで約20%と約40%に大きく分かれるため、計算手順や活用できる特別控除を事前に把握しておく必要があります。税金の算出方法から特例の要件、確定申告のスケジュールまでを整理して解説します。

土地売却にかかる税金の全体像、売却益が出なければ所得税はかからない

土地を売却する際には、取引の各段階でいくつかの税金が発生します。大きな金額が動くため税負担を心配する方も少なくありませんが、税金の性質を整理すると、手続きに伴い発生するものと利益が出た場合のみ課税されるものに分かれます。

土地売却で発生する4種類の税金

個人が土地を売却するときに関係する税金は、主に4種類です。契約時や登記手続き時にかかる流通税と、売却によって得た利益に対して課される所得税等に分類されます。

税金の種類

課税の対象

納付するタイミング

印紙税

売買契約書の作成

売買契約時(収入印紙を貼付)

登録免許税

抵当権抹消や住所変更の登記

決済・登記申請時

所得税(復興特別所得税含む)

土地売却で生じた譲渡所得(利益)

売却翌年の確定申告期間

住民税

土地売却で生じた譲渡所得(利益)

売却翌年の6月以降

印紙税は売買契約書に課される国税で、契約書に印紙を貼付して消印することで納付します。住宅ローンが残っていた土地を売る場合は、完済後に抵当権を外すための登録免許税が必要です。一方、所得税と住民税は売却後の確定申告を経て納税する仕組みになっています。

売却益(譲渡所得)が出ない場合は所得税と住民税がかからない

土地売却にかかる税金の中で最も金額が大きくなりやすいのが、所得税と住民税です。ただし、これらの税金は売却金額そのものに課税されるわけではありません。

課税対象となるのは、売却代金から土地の購入代金(取得費)や仲介手数料などの経費(譲渡費用)を差し引いた譲渡所得と呼ばれる売却益です。購入時の価格よりも値下がりして売却損が出た場合や、諸経費を差し引いて手元に残る利益がゼロになった場合には、所得税も住民税も課税されません。

土地の売買価格自体には消費税がかからない理由

日常の買い物とは異なり、土地の売買価格そのものには消費税がかかりません。消費税法上、土地は「使っても減少しない資産」であり、消費という概念になじまないため非課税取引と定められています(2026年時点の税制に基づく)。

ただし、取引に付随する各種サービスには消費税が課税されます。不動産会社へ支払う仲介手数料や司法書士への報酬、古家付き土地を更地にして引き渡す場合の解体工事費用などには消費税が含まれる点に留意が必要です。土地代金そのものは非課税でも、売却諸経費には税金が上乗せされます。

朝の光を浴びる何もない土地を描いた、抽象的な建築線画のイラスト

土地売却の税金は何パーセントか、譲渡所得の計算と所有期間による税率

土地を売却して得た利益には所得税と住民税が課税されます。この税額を計算する際、給与所得など他の所得と合算せず個別に計算する「申告分離課税」の方式をとります。税額は、課税対象となる譲渡所得に所定の税率を掛けて算出するため、まずは計算の手順を押さえることが不可欠です。

譲渡所得を求める基本の計算式と「取得費」の確認方法

土地売却における課税対象の利益は「譲渡所得」と呼ばれ、売却金額そのものではなく、売却代金から諸経費を差し引いた金額を指します。計算式は次のとおりです。

譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) −(取得費 + 譲渡費用)

ここで重要になるのが「取得費」です。取得費とは、その土地を購入した際の本体価格や購入時の仲介手数料、登記費用などを合算した金額を指します。先祖代々の土地であったり、購入当時の売買契約書を紛失していたりして実際の購入額が確認できない場合は、売却金額の5%を「概算取得費」として計上することが認められています(2026年時点の税制に基づく)。ただし、概算取得費を用いると実際の取得費より大幅に低く見積もられる傾向があり、課税対象額が膨らみやすい点に留意が必要です。

所有期間5年で分かれる税率(短期譲渡所得39.63%・長期譲渡所得20.315%)

土地の譲渡所得にかかる税率は一律ではありません。土地を所有していた期間に応じて「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに区分され、適用される税率が大きく異なります。

区分

所有期間

合計税率

内訳(所得税+復興+住民税)

短期譲渡所得

5年以下

39.63%

所得税30% + 復興0.63% + 住民税9%

長期譲渡所得

5年超

20.315%

所得税15% + 復興0.315% + 住民税5%

所有期間が5年を超える長期譲渡所得に該当すれば、税率は短期譲渡所得の約半分に抑えられます。復興特別所得税は基準所得税額に対して2.1%が加算される仕組みとなっており、長期・短期いずれの場合にも上乗せされます。

所有期間をカウントする際の「売却年の1月1日」ルール

所有期間が5年を超えているかどうかを判定する基準には、特別なルールが存在します。引き渡し日当日に丸5年が経過しているかではなく、「売却した年の1月1日時点」で所有期間が5年を超えているかどうかで判定されます。

たとえば、2021年4月1日に購入した土地を2026年5月1日に売却した場合、カレンダー上では5年以上が経過しています。しかし、売却年である2026年1月1日時点の所有期間は4年9カ月となるため、税務上は短期譲渡所得として扱われます。このケースで長期譲渡所得の適用を受けるには、2027年1月1日以降に売却時期をずらさなければなりません。売却スケジュールを組む際は、契約日や引き渡し日の年を慎重に見極める必要があります。

土地売却の税金を抑える主な特別控除と特例

土地の売却によって譲渡益が生じた場合でも、国の税制優遇措置である特別控除を適用できれば、課税対象となる金額を大きく減らせます。更地にしてから売却する場合や、価格の低い遊休地を手放す場合など、状況に応じた特例が用意されています(制度内容は2026年8月時点の法令に基づきます)。

マイホームを取り壊して土地を売る「3,000万円特別控除」

自分が住んでいた家屋を取り壊して更地として売却する場合でも、一定の条件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用できます。適用を受けると、譲渡所得から最高3,000万円が差し引かれるため、売却益が3,000万円以下であれば所得税や住民税はかかりません。

この特例を更地売却で利用するには、契約と引き渡しの期限に注意が必要です。家屋を取り壊した日から1年以内に売買契約を結び、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければなりません。また、取り壊してから売買契約を結ぶまでの間に、土地を駐車場などに貸し出していないことも要件とされています。

低未利用土地等を売却した場合の「100万円特別控除」

買い手がつきにくい低価格な土地の流通を促す仕組みとして、「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」が設けられています。都市計画区域内にある利用頻度の低い土地を売却した際、長期譲渡所得から最大100万円を控除できる制度です。

主な適用要件は、所有期間が5年を超えること、売却後の取引額の合計が500万円以下(一定の要件を満たす区域では800万円以下)であること、そして買い手が購入後に利用する意向を示していることです。譲渡益が100万円未満の場合はその全額が控除対象となり、税負担を抑えながら資産整理を進められます。

特例の利用と新居の住宅ローン控除における選択関係

土地や建物を売却して新居へ住み替える際、売却時の特別控除と新居での住宅ローン控除は原則として併用できません。どちらを優先すべきかは、売却益の大きさと新居の借入額によって異なります。

選択する制度

メリット

注意すべき制限

3,000万円特別控除

売却年の譲渡所得税を大幅に減額または非課税にできる

売却した年とその前後2年(計5年間)は新居で住宅ローン控除を受けられない

住宅ローン控除

新居の年末ローン残高に応じて一定期間の所得税控除を受けられる

売却益にかかる譲渡所得税をそのまま納付する必要がある

売却益が大きく多額の税金が発生する場合は3,000万円特別控除を選ぶほうが有利になりやすい一方、売却益がわずかで新居のローン残高が大きい場合は住宅ローン控除を選んだほうが総控除額で上回るケースがあります。事前に両方の減税額を試算したうえで、申告する制度を判断することが重要です。

相続した土地を売却する際にかかる税金と特例の要件

親や親族から相続した土地を売却する場合、自身で購入した不動産とは異なる特有のルールが適用されます。譲渡所得の計算基準となる所有期間や取得費の引き継ぎ方を理解し、利用できる特例制度を正しく把握しておくことが税負担の軽減につながります。

相続した土地の「所有期間」と「取得費」の引き継ぎ

相続によって取得した土地を売却する際、税額計算の基準となる「所有期間」と「取得費(土地を購入した代金や諸費用)」は、亡くなった被相続人の内容をそのまま引き継ぎます。自分が相続してから売却するまでの期間ではなく、被相続人がその土地を取得した日から起算して所有期間を判定します。

項目

引き継ぎのルール

売却時の税金への影響

所有期間

被相続人が土地を取得した日を引き継ぐ

被相続人の所有期間が通算5年を超えていれば、相続直後の売却でも税率の低い長期譲渡所得になる

取得費

被相続人が購入した当時の代金や取得費用を引き継ぐ

購入当時の売買契約書がない場合は売却額の5パーセント相当額で計算するため、譲渡益が大きくなりやすい

被相続人が土地を5年を超えて所有していた場合は、相続から1年未満で売却したとしても税率の低い長期譲渡所得が適用されます。一方で、先祖代々の土地などで当時の売買契約書が見つからない場合は、取得費が売却代金の5パーセントとみなされ、想定以上に税金が高くなる点に留意が必要です。

相続空き家の3,000万円特別控除を土地売却で使う条件

相続した実家を取り壊して更地として売却する場合、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除(空き家の3,000万円特別控除)」が適用できる可能性があります(2026年時点の制度)。要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。

土地売却でこの控除を受けるための主な要件は次の通りです。

  • 家屋が昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であること
  • 相続開始の直前において被相続人が1人で居住していたこと(要介護認定等を受け老人ホームに入所していた場合の例外あり)
  • 相続から売却までの間に、居住や事業、賃貸の用に供されていないこと
  • 家屋を取り壊して更地にした後に土地を譲渡すること
  • 売却代金の合計額が1億円以下であること

実家を手放すにあたって解体更地渡しを検討する際は、解体の順序や譲渡期限が要件から外れないよう事前に手続きの流れを整理しておく必要があります。

相続税を支払っている場合に使える「取得費加算の特例」

土地を相続した際に相続税を納付している場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)」を活用できる場合があります。納めた相続税額のうち、売却した土地に対応する一定金額を取得費へ上乗せできる制度です。

取得費が加算されることで課税対象となる譲渡所得が圧縮され、結果として所得税や住民税を抑えられます。適用を受けるためには、相続により財産を取得して相続税が課税されていること、および「相続税の申告期限の翌日以後3年以内(相続開始の翌日から3年10カ月以内)」に土地を売却することが条件となります。空き家の特別控除など他の制度と併用できない場合もあるため、適用による減税効果を比較したうえで選択します。

時間の影が落ちる静かな住宅地を、暖色系の幾何学模様で描いたイラスト

土地売却後の税金はいつ払うか、確定申告と納税のスケジュール

土地を売却した際に生じる税金は、一度にまとめて支払うわけではありません。売買契約の締結時から翌年の住民税の納付に至るまで、税目ごとに納めるタイミングが分散しています。全体の流れを把握しておかないと、納税時期になって資金が不足する事態にもなりかねません。

契約から翌年の住民税納付までの全体スケジュール

土地売却に関わる主な税金と、それぞれの納付時期は次の表の通りです。

税目

支払い・申告の時期

納付先・手続き方法

印紙税

売買契約書の締結時

契約書に収入印紙を貼付・消印

登録免許税

土地の引渡し(決済)時

抵当権抹消などの登記申請時に納付

所得税(復興特別所得税を含む)

売却翌年の2月16日〜3月15日

確定申告を行い、税務署へ納付

住民税

売却翌年の6月以降

自治体から届く納税通知書に従い納付

売買契約時にかかる印紙税や、所有権移転・抵当権抹消登記に伴う登録免許税は、取引の進行に合わせてその場で支払います。一方で、譲渡益に対して課される所得税と住民税は売却の翌年に納付する点に注意が必要です。所得税は翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に納め、住民税は確定申告のデータをもとに自治体が税額を計算し、翌年6月頃から納付が始まります。

特例を利用して税金が0円になる場合も確定申告は必須

マイホームの敷地を売ったときの3,000万円特別控除や相続空き家の特例などを適用し、計算上の譲渡所得がゼロになって税金が発生しない場合でも、確定申告の手続きそのものを省略することはできません

これらの特例は、「確定申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、必要な書類を添付して申告する」ことが適用の要件と定められています。申告期限内に手続きを行わなかった場合、特例の適用が認められず、本来控除できるはずだった多額の税金が課されるリスクが生じます。税額が0円になる見込みであっても、必ず翌年の申告期間内に税務署へ申告書を提出します。

所得税の納税資金管理と延納制度の仕組み

土地の売却代金を受け取ってから所得税の納期限までは数カ月から1年近くの期間が空くため、手元に残った資金を別の用途に使ってしまわないよう管理しておくことが重要です。譲渡益が出た場合は、見込まれる納税額をあらかじめ別口座などに確保しておきます。

もし確定申告期限までに所得税の全額を納付することが難しい場合には、申告所得税の延納制度を利用できます。確定申告期限(3月15日)までに納付すべき税額の2分の1以上を納めれば、残りの金額の納付期限を5月31日まで延長できる仕組みです。延納期間中は年割合に応じた利子税がかかりますが、資金繰りの調整弁として活用できます。計画的な資金管理を行いつつ、必要に応じてこうした制度の手続きを検討します。


出典
国税庁 土地を売ったとき 譲渡所得 — 土地や建物を売ったとき
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁 土地の譲渡 消費税 非課税 — No.6931 消費税等と譲渡所得
たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる ...
国税庁 取得費が分からないとき — No.3258 取得費が分からないとき
取得費がわからないとき(概算取得費の特例)
国税庁 マイホームを取り壊して土地を売ったとき — No.3302 マイホームを売ったときの特例
No.3320 マイホームを取り壊した後に敷地を売ったとき

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の取引・税務・法務に関する助言ではありません。制度や税率は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、最新の公的情報をご確認のうえ、宅地建物取引士・税理士等の専門家にご相談ください。

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